はじめに
端株でこつこつ買い集めて、2022年1月18日に1,382円で100株に単元化した銘柄です。配当利回りの高さ、おこめ券の優待、そして鉄壁といっていい財務。この3つが揃っている銘柄はそう多くないと考えて、単元化に踏み切りました。
そこから4年ほど保有を続けているあいだに、会社の株主還元の姿勢がはっきり変わりました。2024年11月にDOE目標を引き上げ、2025年11月には累進配当方針を公表。これを見て2026年3月12日に1,165円で100株を買い増ししています。2026年1月の株式分割を挟んでいるため、現在の保有は300株です。
※本記事の株価・利回りは、2026年9月11日終値1,138円をもとに計算しています。
- オーハシテクニカ(7628)の事業内容・業績・配当の状況
- 株主優待の内容と権利確定日
- 権利確定日までにいつ買えば間に合うか
- 私が実際に購入を判断した理由と、リスクとして考えていること
オーハシテクニカとはどんな会社か
オーハシテクニカは、1951年創業の自動車部品サプライヤーです。本社は東京・虎ノ門にあり、東証プライム市場に上場、連結従業員数は721名です。
証券コード上の業種分類は卸売業ですが、実態は部品を仕入れて売るだけの商社ではなく、自社工場を持って作る側にも回っている会社です。
事業の中身
主力は自動車関連部品で、エンジン関連部品、車体組立用部品、ブレーキ関連部品、EV関連部品などを供給しています。取り扱う品目は2万種類ともいわれます。
同社を語るうえで欠かせないのが、自社工場で開発・製造する「ファクトリー機能」と、約300社の協力部品メーカーと組んで供給する「ファブレス機能」の2本立てです。自前で作るべきものは作り、外部の技術を活かせるところは組む。この使い分けが、幅広い品揃えを支えています。
独自技術としては「圧入プロジェクション接合技術」があります。部品の高強度化と軽量コンパクト化を同時に実現できる技術で、電動車向け部品での採用が大手自動車メーカー各社に広がっています。
売上の半分は海外
報告セグメントは地域別です。2026年3月期の外部顧客向け売上高は、日本が199.4億円で構成比48.7%、米州が141.1億円で34.5%、アセアンが31.1億円で7.6%、中国が22.7億円で5.6%、欧州が14.9億円で3.6%となっています。
つまり売上の半分強が海外です。なかでも米州は利益面での存在感が大きく、2026年3月期のセグメント利益は日本の9.8億円に対して米州が8.9億円。国内の部品会社というより、日米2本柱の会社と見たほうが実態に近いと考えています。
一方、中国は苦戦が続いています。2026年3月期は売上が前期比16.5%減、セグメント損益も赤字でした。ここは後ほどリスクのところで触れます。
特定の大口顧客がいない
自動車部品メーカーというと、どこかの完成車メーカーの系列というイメージがあります。ただ同社の場合、有価証券報告書では「総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がない」として、主要な販売先の記載自体が省略されています。
特定の1社に売上を握られていない構造は、系列色の強い部品メーカーと比べたときの強みだと考えています。もっとも、自動車業界そのものへの依存度が高いことは変わりません。
中期経営計画・今後の方向性
現在は「中期経営計画~Mission2025+2~」を進めており、最終年度の2028年3月期に連結売上高450億円・連結営業利益41.5億円を目標として掲げています。経営指標としてはROE8%以上、DOE2.8%以上、配当性向35%以上を置いています。
成長の軸は製造機能の強化です。売上高に占めるグループ製造部門の比率を現状の27%から40%へ引き上げる方針で、6年間で設備投資95億円を計画。米国子会社の工場拡張、タイ子会社の新ライン導入、鈴鹿工場の第2工場建設が進行中です。仕入れて売るだけでなく自分たちで作る比率を上げ、利益率を取りにいく形になっています。
株主還元では2025年11月に累進配当方針を公表しており、こちらは後ほど詳しく触れます。
株主優待について
オーハシテクニカの株主優待は、全国共通おこめ券です。3月末と9月末を基準日とする年2回の実施で、保有株数と継続保有期間に応じて枚数が変わります。
株主優待の内容
対象
100株以上
優待内容(年2回)
おこめ券 1枚(440円相当)
権利確定日
2026年9月30日・2027年3月31日
贈呈時期
2026年12月頃(9月末分)・2027年6月頃(3月末分)
保有株数と継続保有による枚数の違い
| 保有株数 | 3年未満保有 | 3年以上保有 |
|---|---|---|
| 100株以上 | 1枚 | 2枚 |
| 300株以上 | 2枚 | 3枚 |
| 500株以上 | 3枚 | 4枚 |
| 1,000株以上 | 4枚 | 6枚 |
| 10,000株以上 | 5枚 | 7枚 |
3年以上の継続保有とは、3月末と9月末の株主名簿に同一の株主番号で連続7回以上記載されている株主を指します。実質的には3年半ほど持ち続けると到達する計算です。
投資効率で見ると100株が最も有利です。100株なら11.4万円で年4枚(1,760円相当・優待利回り1.55%)なのに対し、500株では56.9万円で年8枚(同0.62%)まで下がります。優待を狙うなら100株、それ以上は配当を目的に増やすという考え方になる銘柄です。
なお同社は2026年1月1日に1株を2株に分割していますが、優待の基準株数と枚数は据え置かれました。分割で必要投資額が実質的に半分になったので、分割によって優待は取りやすくなったという経緯があります。
いつまでに買えば間に合うか
権利確定日(9月30日)の2営業日前が「権利付最終日」となるため、株を購入するのはそれより前に済ませておく必要があります。実際に取引される際は、証券会社の取引カレンダーで最新の権利付最終日をご確認ください。
| 権利付き最終日 | 権利落ち日 | 権利確定日 | |
| 2026年9月 | 9/28(月) | 9/29(火) | 9/30(水) |
同社は3月決算のため、9月末は優待と中間配当の両方の権利日にあたります。期末配当の基準日は3月末です。
同じ9月末が権利確定日の銘柄として、キムラユニティー(9368)の株主優待・配当利回りを解説も書いています。こちらも年2回のおこめ券なので、あわせてどうぞ。

配当+優待の利回りを計算してみる
2026年9月11日時点の株価(1,138円)で計算すると、100株の投資金額は約11万3,800円です。
配当利回り+優待利回り
配当利回り(予想)
約3.95%
2026年9月11日時点
優待利回り
約0.78%
100株保有・3年未満の場合
配当+優待合計
約4.73%
100株を保有した場合、年間配当4,500円(会社予想45円×100株)と、おこめ券年2枚(880円相当)を合わせて、年間約4.73%相当のリターンになる計算です。
この銘柄が面白いのは、ここから持ち続けるだけで利回りが上がっていく点です。3年以上の継続保有になるとおこめ券は年4枚(1,760円相当)に増えるので、優待利回りは1.55%、配当と合わせた総合利回りは約5.50%まで上がります。長期保有を前提にする人と相性のいい設計だと考えています。
配当について
配当方針は「累進配当+DOE2.8%以上」
DOE(純資産配当率)について2.8%以上を目標としております。配当性向について35%以上を目標としております。加えて、「累進配当」を配当方針に追加しています。
注目したいのは、基準が2本立てになっている点です。配当性向はその期の利益に連動するため業績が落ちれば配当も下がりますが、DOEは自己資本に対する配当の割合なので、利益がぶれても配当が揺れにくいという特徴があります。自己資本の厚い会社ほどDOE基準は効いてきます。このDOE目標は、2024年11月に2.5%以上から引き上げられたものです。
さらに2025年11月には、累進配当方針が公表されました。減配をしないという意思表示なので、配当目的で持つ側からすると、方針の中でもっとも重い部分だと考えています。
分割考慮で3期連続増配、予想は45円
同社は2026年1月に株式分割を行っているため、額面をそのまま並べても推移が分かりません。現在の株数ベースに調整すると、2017年3月期の20円から2026年3月期の37円まで、10年間で約1.85倍になっています。
途中、2021年3月期と2023年3月期は前期と同額の据え置きでしたが、減配は一度もありません。直近は2024年3月期30円、2025年3月期34円、2026年3月期37円と3期連続の増配で、2027年3月期の会社予想は45円。実現すれば4期連続、しかも前期比21.6%という大きめの増配になります。

※過去の配当金は、2026年1月の株式分割を考慮した調整後の金額で表示しています
なお2026年3月期は分割を挟んだ変則的な期で、中間配当は分割前の株式に37円、期末配当は分割後の株式に18円50銭が支払われました。証券会社のサイトで過去の配当額を見ると、この期だけ数字がぶれて見えることがあります。
配当性向は45.5%まで低下してきた
2026年3月期のEPS(1株あたり利益)は81.40円、配当性向は45.5%でした。2024年3月期には79.9%まで上がった時期もありましたが、これは利益が落ち込んだ年にも増配したためで、その後は利益の回復とともに落ち着いてきています。
2027年3月期の会社予想EPSは82.11円なので、45円配当なら配当性向は54.8%。目標の35%以上は十分に満たしている一方、DOEは実績2.4%と目標の2.8%以上にまだ届いていません。

配当利回りの推移
各年度の有価証券報告書が提出された時点の株価をもとに算出した、実績ベースの配当利回りです。過去10年は2.4%〜4.4%のレンジで動いており、直近5期は3.3%〜4.4%に収まっています。
※記事の前半で計算した予想配当利回り約3.95%は、2027年3月期の会社予想配当45円を2026年9月11日時点の株価1,138円で割ったものです。基準となる時点と配当額が異なるため、グラフの数値とは差が出ています。

※配当利回りは、各期の有価証券報告書提出日の終値をもとに算出しています
今後の増配余地をどう見るか
まず効いてくるのがDOEの未達分です。目標2.8%以上に対して実績は2.4%で、この差を埋めにいく形での増配は十分にありえます。中期経営計画の営業利益41.5億円(2028年3月期)に近い着地となれば、配当性向35%以上という基準からも配当額は押し上げられます。
原資にも余裕があります。2026年3月期の配当総額9.5億円に対し、営業キャッシュ・フローは25.2億円。現金及び現金同等物176.0億円に対して有利子負債はほぼゼロという財務状態です。
私が実際に購入した理由
業績・財務面での判断
直近の決算(2026年3月期)は、売上高409.2億円(前期比+2.3%)、営業利益24.3億円(同+36.1%)、経常利益29.7億円(同+25.6%)、純利益20.8億円(同+36.9%)と増収増益でした。
10年単位で見ると、正直に押さえておきたい点があります。営業利益率が2019年3月期の10.3%から2024年3月期には4.2%まで下がりました。原材料や仕入価格の上昇を売価に転嫁しきれなかったためです。ただしここは明確に反転しており、価格改定と製造部門の生産性向上で2026年3月期は5.9%まで戻しました。
2027年3月期の第1四半期も好調でした。売上高115.0億円(前期比+14.5%)、営業利益8.9億円(同+62.8%)、純利益7.4億円(同+49.4%)で、通期予想に対する進捗は営業利益・純利益ともに35%と、通常のペースを上回っています。
財務は文句のつけようがありません。2026年3月期末の自己資本比率は84.2%で、10年前の70.3%から一貫して上がってきました。現金及び現金同等物176.0億円に対して有利子負債はほぼゼロの実質ネットキャッシュで、時価総額293億円の半分以上を手元資金が占めている計算になります。
キャッシュ・フローは2022年〜2024年3月期にフリーCFがマイナスになる年が続きましたが、直近2期は営業CFが25億〜27億円台で安定し、フリーCFもプラスに戻っています。



株価水準での判断
2026年9月11日終値1,138円は、年初来高値1,294円(2月12日)から12%ほど下、年初来安値1,000円(5月18日)からは+14%の位置にあります。
指標で見ると、会社予想EPS82.11円に対して予想PERは約13.9倍、2026年3月期末BPS1,584.66円に対するPBRは約0.72倍です。自己資本比率84.2%で手元資金が豊富な会社が、解散価値の7割程度でしか評価されていない状態になります。
割安に見える理由もはっきりしています。営業利益率がかつての10%台に戻っていないこと、中国事業の不振、景気敏感セクターであること。市場が慎重に見る材料は揃っています。それでも累進配当方針で減配リスクが小さくなり、利益率も改善に向かっているなかでのPBR0.72倍です。年初来高値から一段下げたこの水準は、じっくり拾っていく候補になると考えています。
累進配当方針の公表を見て買い増しました
最初に買ったのは2022年1月18日です。端株でこつこつ買い集めていたものを、1,382円で100株に単元化しました。当時の判断材料は、配当利回りの高さ、おこめ券の優待、そして財務の堅さの3点でした。
そこから4年ほど保有を続け、2026年1月の株式分割で保有株数は200株になりました。優待の基準株数が据え置かれたため、この時点で自動的に「300株以上」の一歩手前まで来たことになります。
買い増しに踏み切ったのは2026年3月12日、1,165円で100株でした。決め手は、その前年11月に公表された累進配当方針とDOE目標の引き上げです。減配しないことを会社が明言した銘柄が、PBR1倍割れのまま放置されている。ここで100株足して300株にすれば、おこめ券も1回あたり2枚に増えます。長く持つ前提であれば買い増していい場面だと考えました。
分割を考慮した平均取得単価は843円で、この単価で計算すると配当利回り5.34%、優待利回り1.04%(3年以上・300株で年6枚)、総合利回りは約6.38%になります。500株まで増やすと1回あたり4枚になるので、株価が下がる場面があればそこも検討したいところです。
リスクや注意点
- 自動車業界への依存度が高い:事業は自動車関連部品にほぼ集中しており、自動車メーカーの生産動向がそのまま業績に響きます。2026年3月期も国内の一部メーカーと中国の主要得意先の減産が売上の重しになりました
- 中国事業の縮小が続いている:2026年3月期の中国は売上が前期比16.5%減、セグメント損益は赤字で、減損損失6.0億円も計上しました。2026年7月には上海の連結子会社を清算することを決議しています。広州への事業集約が完了したことによる整理ですが、中国での事業規模は縮む方向です
- 米国の関税と為替の影響を受けやすい:売上の34.5%を占める米州は、関税の変更が直接的なコスト要因になります。海外子会社の収益は現地通貨建てのため、円高が進むと連結利益にマイナスの影響が出ます
- 仕入価格の転嫁が遅れると利益率が落ちる:営業利益率が10%台から4%台まで下がった主因が、原材料・仕入価格の上昇を売価に転嫁しきれなかったことでした。直近は改善していますが、同じ構図が再び起きる可能性はあります
- 売買が薄い:1日の出来高は数万株程度です。まとまった株数を売買したいときに、思った価格で約定しにくい場面があります
- 優待は株数を増やすほど効率が下がる:100株で1枚、300株で2枚、500株で3枚という設計なので、優待利回りだけを見れば100株が最も効率的です。株数を増やす判断は、優待ではなく配当と株価水準で考える必要があります
まとめ
オーハシテクニカ(7628)は、自動車部品を「作る」機能と「集めて供給する」機能を併せ持つサプライヤーです。3月末と9月末の年2回もらえるおこめ券の優待と、予想配当45円を合わせた総合利回りは約4.73%。3年以上持てば約5.50%まで上がります。権利付最終日は9月28日です。
株主還元の姿勢は、この2年ではっきり前に出ました。DOE目標の引き上げ、累進配当方針の公表、そして株式分割。分割を考慮すれば3期連続増配で、今期予想の45円が実現すれば4期連続になります。自己資本比率84.2%・実質ネットキャッシュという財務の厚みが、その方針を支えています。
一方で、自動車業界への依存と中国事業の縮小という課題は残ります。営業利益率もかつての10%台には戻っていません。それでもPBR0.72倍という評価と、持ち続けるほど優待が増える設計を考えると、大きな成長を期待する銘柄ではなく、4%近い配当とおこめ券を受け取りながら長く持つ銘柄だと考えています。
この記事を参考にしつつ、最終的な判断はご自身の数字の確認をもとに行っていただければと思います。



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